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購入型と寄付型は何が根本的に違うのか?
購入型と寄付型の根本的な違いは、支援者にリターンを用意するかどうかと、集まった資金が法律上どういう性質を持つかの2点です。この2点の違いが、後述する手数料や税務上の扱いの差にそのままつながっています。
購入型クラウドファンディングでは、支援者に商品・サービス・体験などのリターンを用意します。支援金は実質的に「対価の前払い」に近く、会計上も売上として計上されると整理されています。プロジェクトオーナー側から見れば、通販の先行予約に近い仕組みと捉えると理解しやすいかもしれません。
一方、寄付型クラウドファンディングは基本的にリターンを設けません。支援者が受け取るのは活動への共感や社会貢献への実感であり、金銭的な見返りはないのが原則です。資金の性質も「寄付金」であり、この違いが次のH2-4で扱う税制優遇の話につながります。
なお、融資型・株式投資型・不動産投資型といった他の類型もありますが、本記事では起案者が最初に迷いやすい購入型と寄付型の2択に絞って解説します。5類型全体の位置づけを俯瞰したい場合は、クラウドファンディングの種類ガイドで整理しています。
自分のプロジェクトはどちらに向いているのか?
結論から言うと、支援者に渡せるモノやサービスがあるなら購入型が基本線、事業性より公益性が主な目的で対価を用意しづらいなら寄付型を検討する、という順番で考えると判断がつきやすくなります。
具体的には次の順に自問してみてください。
- 支援者に商品・サービス・体験を提供できるか。 できるなら、まずは購入型を軸に検討します。新商品の先行販売やイベントの実施権利など、形にできるものがあれば購入型との相性が良い状態です。
- プロジェクトの目的が事業の売上拡大より社会的・公益的な性格が強いか。 災害支援、地域活性化、福祉・教育分野の活動などで、対価を用意すること自体が目的とずれる場合は、寄付型のほうが趣旨に合います。
- 運営主体が個人か、NPO法人などの法人格を持つ団体か。 これは寄付型プログラムの対象要件に関わってくる部分で、プログラムによって条件が異なります。詳しくはH2-3・H2-4で扱いますが、法人格の有無は早い段階で確認しておくべき項目です。
法人として進めるか個人として進めるかで、手続きや必要書類も変わってきます。法人がクラウドファンディングを進める手順・個人で始める場合の注意点をご覧ください。
手数料は型ではなくプラットフォームごとの差で比較する
手数料は型そのものよりプラットフォームやプログラムごとの差のほうが大きいため、「購入型だから高い」「寄付型だから安い」と単純に決めつけず、公式情報の数値で個別に確認するのが安全です。
比較軸を「プラットフォーム・型」「手数料」「出典」「確認時点」の4つに揃えて並べると、次のようになります。
| プラットフォーム・区分 | 手数料 | 出典 | 確認時点 |
|---|---|---|---|
| CAMPFIRE(購入型) | 利用手数料12%+決済手数料5%=合計17%(税別) | CAMPFIREヘルプセンター | 2026年8月 |
| CAMPFIRE for Social Good(寄付型の特定プログラム) | 利用手数料・決済手数料ともに0% | CAMPFIREヘルプセンター | 2026年8月 |
| Makuake(購入型・応援購入型) | 20%(税抜・決済手数料込み) | Makuake手数料ページ | 2026年8月 |
この表を読むときに注意しておきたい点が2つあります。
1つ目は、CAMPFIRE for Social Goodの0%はCAMPFIREの中でも購入型とは別プロダクトとして運営される特定プログラムの手数料であり、寄付型クラウドファンディング全般が無条件で0%になるという意味ではないことです。対象になる条件(法人格の要否、個人利用の可否など)は公式ヘルプ上で個別に確認する必要があります。
2つ目は、READYFORについてです。READYFOR公式改定案内(2026年9月9日確認)ではベーシック14%+税、追加サポートは別料金です。購入型・寄付型という名称だけで割引や控除の対象と判断せず、対象案件の条件を確認します。
なお、マクアケ(Makuake)は購入型・応援購入型のみを扱っており、公式ページ上に寄付型のメニューは見当たりません。寄付型を検討している場合、Makuakeは選択肢から外れる可能性が高い点も覚えておくと絞り込みが早くなります。
手数料は改定されることがあるため、上の表の数値も申し込み前に公式サイトで再確認してください。複数社の料率をまとめて見比べたい場合は、プラットフォーム別の手数料比較で手取り額のシミュレーションも含めて扱っています。CAMPFIREの料金体系をさらに詳しく知りたい方はCAMPFIREの手数料ガイドも参考になります。
寄付型を選べば税制優遇は必ず受けられるのか?
いいえ、支援者が寄附金控除を受けられるのは「認定NPO法人等」への寄付に限られており、寄付型クラウドファンディングにすれば自動的に税制優遇を訴求できるわけではありません。
国税庁の一次情報によると、認定NPO法人への寄附金控除(税額控除)は、年間寄附額の合計から2,000円を差し引いた額の40%が控除され、上限はその年の所得税額の25%とされています(出典:国税庁タックスアンサー No.1263、確認時点2026年8月)。
ここで起案者が注意すべきなのは、この控除が適用されるのは寄付を受け取る側が認定NPO法人等の要件を満たしている場合に限られるという点です。任意団体や、認定を受けていない一般社団法人などが運営する寄付型プロジェクトでは、支援者は控除の対象にならない可能性があります。「寄付型だから支援者は税金が安くなる」と案内してしまうと、実際には対象外だったというトラブルにもなりかねません。
税務の個別適用は運営団体の法人格や認定区分によって変わるため、ここでの説明は基本的な整理にとどまります。自分のプロジェクトが控除の対象になるかどうかは、税理士や国税庁の窓口で個別に確認してください。消費税の扱いや会計処理まで含めて整理したい場合は、クラウドファンディングと消費税の考え方やクラウドファンディングの会計処理も参考にしてみてください。
All-or-Nothing/All-inで未達成時の扱いは実施方式によって変わる
目標金額に達しなかった場合にどう扱われるかは、購入型か寄付型かよりも、プロジェクトごとに選ぶ実施方式(All-or-NothingかAll-inか)に左右されると解釈されるのが実務上の扱いです。
All-or-Nothing方式は、目標金額に到達しなければプロジェクトが不成立となり、支援金のやり取りも発生しない仕組みです。一方All-in方式は、目標に届かなくても集まった支援金を受け取り、プロジェクトを実施する仕組みとされています。多くのプラットフォームでは、この方式をプロジェクトごとに起案者が選べる形になっているケースが一般的です。
ただし、どちらの方式をどの型で選べるかはプラットフォームごとに条件が異なるため、断定的な数値では書けません。実施方式の選択は目標金額の設計とも密接に関わってきます。詳細は目標金額の決め方、未達成になった場合の対応で解説しています。
一部リターンのある「ハイブリッド型」の寄付型もある?
はい、実務上は純粋な寄付型のほかに、お礼状や名前の掲載といった軽微なリターンを添える「ハイブリッド型」に近い運用も存在します。「寄付型だからリターンは一切用意できない」と決めつける必要はありません。
たとえば、活動報告書の送付や支援者名のクレジット掲載など、金銭的価値の小さいものであれば、寄付の趣旨を損なわずに支援者との接点を作れます。こうした軽微なリターンをどこまで用意するかは、プロジェクトの性格と照らし合わせて設計するとよいでしょう。
ここで混同しやすいのが、ふるさと納税の返礼品付き寄付との違いです。ふるさと納税の返礼品は寄付額に対してある程度の価値を持つ品物が前提になっている制度ですが、クラウドファンディングにおける寄付型のお礼状や名前掲載は、それとは別物として扱われます。同じ「返礼品」という言葉でも、制度上の位置づけが異なる点は押さえておいてください。
具体的にどんなリターンなら寄付型の趣旨を保てるかは、リターン設計の考え方やリターンの具体例で事例を扱っています。
まとめ
購入型と寄付型の分かれ目は、支援者に渡せるリターンがあるかどうかと、資金を売上として扱うか寄付金として扱うかの2点です。まずは自分のプロジェクトが支援者に何を提供できるかを棚卸しし、それが難しければ寄付型、特に法人格の有無や税制優遇の対象範囲を確認しながら検討する、という順番で進めると判断しやすくなります。
型の見立てがついたら、次は目標金額の設計や審査基準の確認といった、実際の準備段階に進むタイミングです。クラウドファンディングの始め方や審査で見られるポイント、5類型全体を俯瞰したい場合は改めてクラウドファンディングの種類ガイドも見ておくと準備が整います。企画やページ制作を外部に任せたい場合は、NO WAVEの支援範囲で対応する工程を確認できます。