この記事の目次
これからクラウドファンディングを起案しようとしている方にとって、特定商取引法(特商法)の扱いは意外とわかりにくいテーマです。この記事では、自分のプロジェクトが特商法の対象になるかどうかを型から判定する方法、対象になった場合に何を表示すべきか、自宅住所を公開したくないときにどんな選択肢があるかを順に整理します。法務に関わる内容ですが、以下はあくまで一般的な考え方の説明であり、個別の案件への当てはめは弁護士など専門家への確認が必要になる点を最初にお伝えしておきます。なお税務・会計処理については別のテーマになるため、この記事では扱いません。消費税や会計処理を確認したい場合は、それぞれの解説記事を参照してください。
自分のクラウドファンディングは特定商取引法の対象になる?
事業者がインターネットを通じて消費者に商品やサービスを販売する購入型は、特定商取引法の通信販売に該当し得ます。名称だけで判断せず、販売者の事業性、対価、取引内容を確認します。対価のない寄付と、商品を提供する購入型は区別してください。投資型には金融商品取引法など別の規制も関わるため、本記事の通信販売の表示だけで適法性は判断できません。
対象になる場合、何を表示しなければいけない?
購入型で通信販売に該当する場合、氏名(法人なら名称)・住所・電話番号・支払方法・支払時期・引渡時期・返品条件といった項目の表示が一般的に求められます。
消費者庁の通信販売ガイドは、販売価格・送料などの負担、支払時期・方法、引渡時期、申込期間、返品特約、販売者情報などの広告表示事項を整理しています。省略が認められる場合にも条件があるため、原文で自分の取引に当てはまる項目を確認します。
引渡時期や返品・キャンセル条件は、リターン(返礼品)の発送スケジュールとも直結する項目です。発送遅延が起きやすいクラウドファンディング特有の事情を踏まえた実務対応は、返品・発送条件の実務を扱った記事で細かく整理しています。
自宅住所や電話番号を公開したくない場合、どうすればいい?
CAMPFIREでは、一定の条件を満たせば住所・電話番号を非公開に設定できる仕組みがあります。対象になるのは個人・個人事業主の実行者で、法人はこの非公開設定の対象外です。
具体的には、CAMPFIREのヘルプセンターの記載によると(2026年8月時点で確認)、2022年7月4日以降に作成されたプロジェクトから、個人・個人事業主の実行者が住所・電話番号を非公開にできるようになりました。非公開を選ぶ場合、ページ上に「開示の請求があった際には遅滞なく提供する」旨を表示する必要がある、という運用条件が付きます。
非公開設定は、請求を受けた際の開示義務までなくすものではありません。管理画面の設定と実際の開示対応をセットで準備してください。
プラットフォームごとに運用はどう違う?(確認できた範囲の整理)
本記事で住所・電話番号の非公開条件を確認したのはCAMPFIREです。2022年7月4日以降作成のプロジェクトでは個人・個人事業主が対象となり、法人は対象外です。
他社を使う場合は、販売者の登録区分、公開する連絡先、開示請求の受付窓口、請求後の対応期限を各社の実行者向けヘルプで確認します。CAMPFIREの設定をそのまま他社に当てはめないでください。
2022年の法改正はクラウドファンディングにも関係ある?
2022年6月1日施行の改正により、通信販売の申込み段階の表示ルールが整備されました。消費者庁の事業者向け案内で、最終確認画面に表示する分量、価格、支払時期・方法、引渡・提供時期、申込みの撤回・解除、申込期間などの要件と画面例を確認できます。
購入型でクラウドファンディングを起案する場合は、支援の申込み画面(最終確認画面に相当する部分)にこれらの事項が反映されているかを、プラットフォームの仕様とあわせて確認しておくと安心です。
表示を怠るとどうなる?
表示義務を満たしていない場合、一般的には行政指導や是正命令の対象になり得るという法律上の枠組みが存在します。ただし今回参照できた範囲では、クラウドファンディングに関する具体的な行政処分の事例までは見つけられなかったため、この記事では断定的な言及を避けています。
「表記に漏れがあれば即座に重い処分を受ける」といった単純な話ではありませんが、放置してよい問題でもありません。表示事項に不安がある場合は、プロジェクト公開前に見直しておくのが現実的な対応です。
特定商取引法表記、最低限何を確認すればいい?(自己点検リスト)
ここまでの節で触れた項目を、プロジェクト公開前に確認したいポイントとして並べ直します。以下は網羅的な法定リストではなく、まず目を通しておきたい項目の例です。
- 氏名(法人の場合は名称)・住所・電話番号は表示されているか
- 住所・電話番号を非公開にする場合、開示請求への対応方針を明記しているか
- 支払方法・支払時期は明記されているか
- 引渡時期(リターンの発送時期)は明記されているか
- 返品・キャンセルに関する条件は明記されているか
- 申込みの撤回・解除に関する事項は明記されているか
実際のページのイメージをつかみたい場合は、CAMPFIRE社自身が公開している特定商取引法に基づく表記のページを参考にする方法もあります。正式に網羅された項目を確認したいときは、消費者庁のガイド原文を読むか、弁護士など専門家へ直接相談することをおすすめします。
一次情報と確認範囲
2026年9月9日に、本文の料金・制度・運用条件を次の一次資料と照合しました。手順の提案や仮の試算は公式実績ではありません。個別案件の適否・税務判断や、専門家監修・第三者による全文検証を示すものではありません。
まとめ
購入型では通信販売への該当性を確認し、表示事項と最終確認画面を点検してください。CAMPFIREの個人・個人事業主向け非公開設定を利用する場合も、開示請求には対応できる状態を用意します。
自分のプロジェクトが特商法上どう扱われるか、住所の非公開設定を使えるかどうかに迷いが残る場合は、確認したい点(型・法人か個人か・希望するプラットフォームなど)を整理したうえでお問い合わせいただくと、話がスムーズに進みます。実務面での代行や専門家への相談を検討している場合は、相談先の選び方を扱った記事や実務代行サービスを整理した記事もあわせてご覧ください。