
- 支援総額
- 1,066,777円
- 支援者数
- 161人
- 達成率
- 106%
- 目標金額
- 1,000,000円
- 募集期間
- 方式
- All-in
- カテゴリ
- まちづくり・地域活性化
- 地域
- 山梨県上野原市
山梨県上野原市の焙煎所開業プロジェクトです。築300年の古民家に残っていた長屋門の一室に、時間貸しの珈琲焙煎所「三十日珈琲 Shared Roaster」を開くための資金を集めました。
募集期間は2023年9月26日から10月24日までの29日間。目標金額100万円に対して161人から1,066,777円が集まり、達成率は106%となりました。目標に届かなくても実施するAll-in方式です。
空いている部屋と、珈琲好きが2人いた
このプロジェクトには、事業計画から始まっていないという特徴があります。
きっかけは、多拠点生活の拠点として使われている古民家の中に、2022年4月のオープン以来まったく使われていない部屋が1室あったことでした。長屋門と呼ばれる建物の一角です。

2023年5月、この場所で開かれたイベントで後藤伸啓さんと稲福良祐さんが出会います。どちらも珈琲が好きで、話すうちにここを焙煎所にしてはどうかという案が生まれました。

同じ2023年5月、上野原市は「まだ、知らないだけ。」というブランドメッセージを発表しています。移住してきた稲福さんは、魅力のある土地なのに知られていないという課題を感じていました。珈琲を通じて、訪れる人と地域に住む人が行き交う場所を作れないか。空き部屋の活用という話が、地域の課題と重なっていきます。
最新の機械と、古いものの取り合わせ
導入されたのは小型の焙煎機1台です。時間で貸し出し、自分で焙煎したい人が使える形にしました。

築300年の建物に最新の焙煎機を置くという取り合わせが、このプロジェクトの見せ方の中心にあります。古さと新しさのどちらかに寄せるのではなく、両方を並べて写真に収めたことで、ここでしか成立しない場所であることが一目で伝わりました。
提供される内容は焙煎の場所貸しだけではありません。
- 時間貸しの割引が受けられる会員制度
- 毎月300gの珈琲豆が届く定期便
- 会員向けの限定コンテンツ
- 器具の割引販売
- 焙煎の体験プログラム
設備を貸すだけなら、利用者は必要なときにだけ来ます。会員という形を用意したことで、続けて関わる人の輪郭ができました。
立ち上がりの過程をそのまま載せた
ページの構成で目を引くのは、企画が固まるまでの過程を隠していない点です。
温泉に入っているときに案がひらめいた場面、2人でアイデアを出し合ったときの手書きの資料、店名が決まるまでのやりとりが、そのまま掲載されています。
完成した計画だけを見せるページは、整っている代わりに、なぜこの人たちがやるのかが伝わりません。ここでは、思いつきから形になるまでの数か月を読ませることで、当事者の熱量が事実として示されました。
登場人物が多いことも特徴です。イラストを描いた方、焙煎を教えてくれた方、珈琲の産地に駐在していた方などが本文に現れ、この場所がすでに複数の人に支えられていることが分かる作りになっています。
実行者のプロフィールも、経歴と役割と珈琲への関わり方が丁寧に書かれました。一方が本格的に珈琲に熱中し始めたのは2023年1月からだと明かされている点も、飾らない書き方として効いています。地域を舞台にした案件の組み立ては地方創生クラウドファンディングの支援にまとめています。
リターンは体験と会員権を軸にした
リターンは3,000円の応援プランから始まり、上は199,999円の永久会員権まで用意されました。
中心になったのは、5,000円台から10,000円台の珈琲豆のセットと、8,000円のお試し焙煎体験、8,000円の3ヶ月会員権です。産地の等級が高い豆を組み合わせたセット、オリジナルブレンドの開発会議に参加できる枠、産地の農園を訪ねる視察への同行など、金額が上がるほど関わり方が深くなる構成になっています。
人数を絞った限定枠を多く設けている点も特徴です。12名限定の講座、10名限定のツアー、3名限定の開発会議というように、上位のリターンほど席数が明示されました。数が見えていると、支援を検討している人が判断を先送りしにくくなります。リターンの価格帯の作り方はクラウドファンディングのリターン例で整理しています。
資金の使い道は設備投資と備品購入に80万円、手数料に20万円です。焙煎機と一部の設備は自費で購入したことも明記されました。全額を支援に頼っていないと示すことは、計画の現実味を裏づける材料になります。
公開後に起きたこと
2023年11月11日にオープンしました。活動報告では、翌年に入ってからも焙煎体験の予約が続いていることが伝えられています。リターンの珈琲豆については、一部で遅れが出たことも隠さずに報告されました。
公式のオンラインショップも開設され、募集終了後の販路として機能しています。
この案件を振り返って
使われていない部屋があり、そこを使いたい人がいた。それだけであれば、身内で始めて終わることもできました。このプロジェクトが161人を集めたのは、空き部屋の活用という話を、地域が知られていないという課題と結びつけて語ったからだと考えています。
クラウドファンディングは、始めたい人の資金を埋める手段であると同時に、誰に向けた場所なのかを開業前に言語化する機会でもあります。ここでは、開く前から161人が場所の存在を知っている状態が作られました。