築100年の古民家を移住の入口に|香川県丸亀市のゲストハウス「BABANOBA」

香川県丸亀市のゲストハウス BABANOBA のプロジェクトページ用メインビジュアル
支援総額
2,908,308円
支援者数
248人
達成率
145%
目標金額
2,000,000円
募集期間
方式
All-or-Nothing
カテゴリ
まちづくり・地域活性化
地域
香川県丸亀市

香川県丸亀市の不動産会社、馬場商事様のプロジェクトです。丸亀駅から徒歩2分、江戸時代の金毘羅街道沿いに残る築100年超の古民家を、ゲストハウス「BABANOBA」に改装するための資金を集めました。

募集期間は2024年3月14日から4月27日までの45日間。目標金額200万円に対して248人から2,908,308円が集まり、達成率は145%となりました。目標に届かなければ資金を受け取れないAll-or-Nothing方式での実施です。

起点にあったのは、祖父の廃業だった

実行者の馬場健誠さんが不動産業を継いだ経緯が、このプロジェクトの出発点になっています。

2020年3月に大学を卒業し、新卒1年目で「海外で働く」という目標に向けて準備を進めていたところ、新型コロナウイルスの影響でその道が閉ざされます。その数か月後、不動産事業を営んでいた祖父が亡くなりました。祖父は、他の不動産屋が受け入れない人、たとえば生活保護を受けている方や刑事施設を出た方にも部屋を紹介していたそうです。

祖父の死とともに馬場商事は廃業となりますが、馬場さんは「馬場商事が復活する姿を見てほしい」という思いから、2021年8月8日、語呂合わせで「ばばの日」に第2章を始めます。

馬場商事の馬場健誠さん

開業から3年のあいだに15人以上の移住に関わり、カフェを開いた方や鍼灸師の方が次々と丸亀に移り住みました。この経験から、自分の信じた道を進む人が地域に増えれば丸亀はもっと面白くなる、という確信が生まれています。ゲストハウスの構想は、その延長線上に置かれました。

宿泊施設ではなく「移住の入口」として設計した

BABANOBAは、単なる宿としては設計されていません。ページでは4つの機能が並列で説明されています。

  • ゲストハウス機能(長期滞在が可能で、移住体験パッケージを用意)
  • カフェ&バー機能(昼はドリンクスタンド、夜はバー)
  • クリエイティブスペース機能(Wi-Fiと電源を備えたコワーキング環境)
  • レンタルスペース機能(出店やアーティストの展示に使える場)

そのうえで、丸亀での長期滞在、地域住民の紹介、物件探し、開業支援までを一続きのサポートとして提示しました。宿泊そのものを売るのではなく、移住を検討する人が最初に足を踏み入れる場所として位置づけた点が、このページの軸になっています。

改装後のゲストハウス内部

不動産業を営んでいる実行者が、宿と物件紹介と開業支援を同じ場所で提供する。この組み合わせは説明を必要とせずに納得できる形で、支援を検討する人にとっての説得力に直結しています。

ページの構成で意識したこと

本文には、アフリカのことわざとして知られる「早くいきたいなら、1人で行け。遠くに行きたいなら、みんなで行け」が繰り返し登場します。支援者を「お金を出す人」ではなく「共に遠くへ行く仲間」として位置づける言葉として使われました。

構成上は次の点を積み上げています。

  1. コロナ禍での挫折と祖父の死という、個人的な出来事から書き起こす
  2. 祖父の遺志を継いで不動産業に戻った経緯を挟む
  3. 実際に移住してきた方々の事例を具体名で挙げ、実績として示す
  4. 改装前後の写真、ロゴに込めた意味、間取り図を配置する
  5. 設備費170万円、手数料30万円という内訳を明記する

日本一周中に出会ったデザイナーや写真家、まちづくりに関わる方々からの推薦文も、それぞれの実績とプロフィールを添えて掲載しました。応援コメントは名前だけを並べても効きません。誰が、どういう立場から言っているのかが分かって初めて、読み手にとっての判断材料になります。

資金の使い道を金額で示した点も同じ考え方です。集めたお金が何に変わるのかが読めないページは、支援を検討する段階で止まってしまいます。目標金額の決め方についてはクラウドファンディングの始め方でも触れています。

リターンは体験と場所へのアクセスで組んだ

リターンは3,000円のサンキューレターから、300,000円のスペシャル応援セット(2泊3日の宿泊とドリンク15杯分、飲食チケットなど)まで幅広く用意されました。

中心になったのは、施設そのものを使える権利です。ドミトリー1泊の無料券が4,500円、個室が6,000円から、丸亀のアテンドツアーが15,000円、1日店長体験が10,000円、レンタルスペースの1ヶ月貸切が30,000円といった構成です。

物品ではなく体験と場所へのアクセスを軸にしたことで、支援した人が実際に丸亀を訪れる理由が生まれます。開業前の施設にとって、これは資金と同時に最初の来訪者を確保する設計でもあります。リターンの組み方はクラウドファンディングのリターン例で価格帯ごとに整理しています。

公開後に起きたこと

募集終了後、2024年6月22日にオープンしました。直前には旅館業の許可を取得し、オープニングパーティーの開催、地域の飲食店による出店と続きます。オープンから1ヶ月半の時点では、国内だけでなく海外からの宿泊客も訪れたことが活動報告に記載されています。

実行者から伺っている、資金以外の効果は次の3点です。

  • 開業前にリターンという形で予約を獲得できた
  • この実績をもとに、銀行の融資が通りやすくなった
  • 公開したページがそのままLPとして機能し、予約の動線になった

クラウドファンディングのページは、募集が終わっても検索結果に残り続けます。開業までの経緯が写真と文章で残っているページは、後から訪れる人にとっての紹介資料になります。地域の案件で何を準備するかは地方創生クラウドファンディングの支援にまとめています。

この案件を振り返って

「移住したい人に来てほしい」という願いを、そのまま書いても支援は集まりません。このプロジェクトが145%に届いたのは、実行者がすでに15人以上の移住に関わってきたという事実を先に示し、その延長として施設の必要性を説明できたからだと考えています。

やりたいことを、他の人にとってもやりたいことに置き換えられるか。BABANOBAの場合は「丸亀に面白い人が増える」という形でそれが成立していました。