
- 支援総額
- 534,741円
- 支援者数
- 85人
- 達成率
- 106%
- 目標金額
- 500,000円
- 募集期間
- 方式
- All-in
- カテゴリ
- まちづくり・地域活性化
- 地域
- 長崎県五島市
長崎県の五島列島福江島にあるシェアハウスの改装プロジェクトです。特徴は、実行者が自分の施設のために資金を集めたのではないという点にあります。友人が運営する施設を立て直すために、加藤こうへい様が起案しました。
募集期間は2024年12月30日から2025年2月28日までの61日間。目標金額50万円に対して85人から534,741円が集まり、達成率は106%となりました。目標に届かなくても実施するAll-in方式です。
直したい建物が、自分のものではない
このプロジェクトが扱ったのは、友人が運営する「グットニートハウス」というシェアハウスでした。

この施設は2023年4月に、別のクラウドファンディングで360万円以上を集めて開かれています。ところがその後、2つの問題を抱えることになりました。ひとつは、想定していた以上に運営経費がかかり赤字になったこと。もうひとつは、入居した人が生活費を稼ぐために島で仕事を見つけても長続きせず、結果として退去してしまうことでした。
住む場所はできたが、そこで暮らし続けるための仕組みがなかった。プロジェクトはそう整理したうえで、建物の側を作り替えることで解こうとしました。
実行者は約20年間ビルメンテナンスの仕事に携わり、東日本大震災をきっかけに社会への恩返しを決めて38歳で起業した経歴を持ちます。プロジェクト当時は、友人からの寄付で生活する暮らし方を実践していました。建物を直す技術と、島に渡る自由がある人物が、他人の施設のために資金を集める。この構図自体が、このページの読みどころになっています。
2つの改装に絞って書いた
やることは2つに絞られました。
1. 2階の和室をドミトリーにする
当時は8畳の部屋を簡易な仕切りで区切り、3人が寝泊まりしていました。個人の空間が確保できていない状態です。これを4人が落ち着いて過ごせる部屋に変え、泊まりたい、住みたいと思える場所にする。木のボックスで個室をつくり、秘密基地のような造りにする計画が示されました。
2. 玄関横のスペースを学びの場にする
外から見て店や受付に見える空間をつくり、内側は教室のような学習スペースにします。ここで想定された機能は次の通りです。
- 住んでいる人や滞在者の作品を売る
- 島の観光案内と移住相談を受ける
- 仕事ができる場所として使う
- 独立して働くための支援をする
入居者が島で働き続けられなかったのなら、島の外の仕事を持ち込めるようにする。空間の改装が、退去が続くという課題への回答になっています。

資金の使い道は、材料費と渡航費が41.5万円、手数料が8.5万円と示されました。工事を業者に頼まず自分で行うため、費用の大半が材料に充てられます。小さな目標金額でも実現できる計画になっているのは、実行者自身が施工できることが前提にあるからです。
RPGの第1話として書いた
ページのタイトルには「クラファンRPG 第1話」と付けられています。物語の1話目という形式を取ったことで、いくつかの効果が生まれました。
まず、支援者が「冒険の仲間」として位置づけられます。金額の大小ではなく、参加しているかどうかで語られる構造です。
次に、第2話以降があることが最初から示されます。この改装で終わりではなく、続きがあると分かっていれば、今回の支援は継続的な関わりの入口になります。
さらに、実行者の経歴を長く書いても読みやすくなります。震災への向き合い方、起業の経緯、寄付で暮らすという選択まで、通常なら重くなりがちな内容が、物語の背景説明として機能しました。

本文には島の風景や食べ物の写真、住人とペットの日常が多く並びます。改装の必要性を訴えるだけのページであれば、読み手には課題しか残りません。そこで暮らす時間が魅力的に見えて初めて、直す意味が伝わります。
推薦のコメントも、学習塾の代表、プロデューサー、体験を作る仕事の方、以前のシェアハウスの運営者など、立場の異なる5名から集められました。うち1名はとくに長い文章で、実行者と実際にやりとりした場面を具体的に書いています。
リターンは呼び出し権と滞在で組んだ
リターンで最も支援を集めたのは、1,500円のお礼メッセージ(34人)でした。次いで3,000円の1泊ギフト権(17人)、10,000円の呼び出し権(14人)と続きます。
呼び出し権は、全世界どこでも1日呼び出せるという内容です。技術を持って身軽に動ける実行者だからこそ成立するリターンで、この人に何を頼めるのかがそのまま商品になっています。
一方で、20,000円の1週間スタッフ体験と50,000円の1ヶ月スタッフ体験は支援が入りませんでした。滞在型のリターンは金額よりも時間の確保が壁になります。リターンの設計では、支援者が払えるかどうかだけでなく、実行できるかどうかも条件になります。この点はリターンの決め方でも整理しています。
公開後に起きたこと
2025年2月、終了の3日前に目標に到達しました。その後、ネクストゴールとして77万円が掲げられ、雨漏りの修繕まで対象が広げられています。
同年9月、ドミトリーの完成が報告されました。木のボックスで区切られた小部屋と、人工芝を敷いた屋内の空間ができています。実行者は脊椎の不調を抱えながら一人で施工しました。業者に頼めば100万円を超える工事だったと報告に書かれています。雨漏りの修理と学習スペースの整備も完了し、2号店の建設も始まりました。
募集終了から完成まで半年以上が経っていますが、その間も報告が続いています。時間がかかること自体は問題になりません。何も伝わらない期間が続くことが問題になります。
この案件を振り返って
自分の事業ではないものに資金を集めるのは、通常なら成立しにくい形です。支援する人から見れば、お金が誰の何に変わるのかが一段遠くなります。
それでも85人が集まったのは、実行者が何をできる人なのかがページから読み取れたからだと考えています。建物を直せること、島まで行けること、そして頼まれれば動くこと。この3つが具体的に示されていたため、支援したお金が確かに形になると信じられる状態が作られていました。何を実現したいかを詰める段階の考え方はクラウドファンディングの始め方にまとめています。