
- 支援総額
- 2,785,108円
- 支援者数
- 204人
- 達成率
- 214%
- 目標金額
- 1,300,000円
- 募集期間
- 方式
- All-or-Nothing
- カテゴリ
- ビューティー・ヘルスケア
- 地域
- 東京都中野区
東京都中野区で個人サロンを営む榊原海紗様のプロジェクトです。施術機器の導入費用を集めるとともに、引退した競技者が次の仕事に移るための受け皿をつくることを掲げました。
募集期間は2023年4月11日から5月10日までの30日間。目標金額130万円に対して204人から2,785,108円が集まり、達成率は214%となりました。目標に届かなければ資金を受け取れないAll-or-Nothing方式です。
競技を続けた人の身体と、その後の話
実行者は愛知県出身の陸上競技者です。小学生のころに競技を始め、中学、高校、大学を経て、卒業後は実業団で走り続けてきました。

大学の4年間で5回の疲労骨折を経験し、その後も体調の不良に悩まされます。そのあいだ多くのトレーナーや治療家に身体を診てもらい、整えてもらった経験が、自分も施術する側に回りたいという気持ちにつながりました。
2021年3月3日、東京都中野区に「プライベートサロン33」を開きます。2年間で241人が来店しました。
このプロジェクトの背景にあるのは、陸上競技の全盛期が20代の半ばで訪れるという事実です。引退したあとに何をするのかという問いは、多くの競技者が抱えながら、現役のあいだは向き合いにくいものです。実行者は自分の経験から、その受け皿を作ろうとしました。
機器の購入ではなく、引退後の選択肢として語った
集めた資金の使い道は、生体電流セラピーの機器購入費が100万円、リターンと準備の費用が10万円、プラットフォーム手数料が20万円です。金額の大半は機器の購入に充てられます。
ただしページは、機器を買いたいという話としては書かれていません。この施術は、セラピストの身体を通して手から微弱な電流を送るものだと説明されており、習得しやすく結果につながりやすい方法として紹介されています。実行者はこの点に着目し、一流の施術を自分の身体で受けてきた競技経験者にとって、引退後に選びやすい仕事になるという道筋を描きました。
将来的には、在籍者が全員、競技を経験した人であるサロンを目指すという構想も示されています。1台の機器の購入という話が、引退後のキャリアという主題に接続されたことで、支援する理由の幅が広がりました。
同じ金額でも、設備を更新したいという説明と、その設備で誰の何が変わるのかという説明では、読み手の受け取り方が変わります。目標金額の内訳をどう見せるかはクラウドファンディングの目標金額の決め方でも扱っています。
目標ではなく人数をネクストゴールに置いた
このプロジェクトは公開後にネクストゴールを設定していますが、その単位が金額ではありません。

掲げられたのは「333人」という支援者数でした。サロンの開業日である3月3日と、店名の33にちなんだ数字です。金額を積み増すのではなく、関わる人の数を目標にしたことで、すでに支援した人が周囲に声をかける動機が生まれます。
追加のリターンも、この方向に沿って組まれました。実行者と一緒に20km走るイベント、ワラーチ(サンダル)を作るワークショップなど、競技に関わる人が参加したくなる内容です。金額ではなく人数を目標に置いたときは、それに合わせて少額で参加できるリターンを足すのが自然な流れになります。
リターンは関係の深さで段階を作った
リターンの構成は、金額が上がるにつれて実行者との距離が近づく設計でした。
- 1,000円:SNSでの紹介
- 3,000円:お礼のメール、ランニングイベントへの参加
- 5,000円:お礼の手紙、ワークショップ
- 10,000円:1時間の相談
- 15,000円:食事会
- 21,000円から:施術コースの割引
- 50,000円:出張での1日メンテナンス
- 100,000円:1年間のスポンサー掲載
施術を受けられる権利だけを並べると、来店できる範囲の人しか支援できません。遠方の人が参加できる枠、応援する立場で名前を出せる枠を混ぜたことで、支援できる人の範囲が広がりました。個人サロンのように商圏が限られる業種では、この設計が支援者数に効きます。
公開後に起きたこと
募集終了の翌日、204人が支援し214%で達成したことへの御礼が投稿されました。達成できるか不安だったという率直な言葉が添えられています。
その後、6月をモニター期間として全メニューを半額にする案内が出されました。対象は支援した方と来店経験のある方で、期間中は何度でも利用できるという内容です。集まった支援を、来店の機会として返す設計になっています。
クラウドファンディングで集まるのは資金だけではありません。支援者は、その事業を気にかけている人のリストでもあります。募集が終わったあとにその人たちへ何を届けるかで、一度きりの資金調達で終わるか、継続的な関係になるかが分かれます。公開後の動き方はクラウドファンディングの始め方でも触れています。
この案件を振り返って
個人で営むサロンの設備導入は、本来なら融資や自己資金で進める種類の投資です。それをクラウドファンディングに載せられたのは、機器の購入という出来事の先に、引退した競技者の働き方という、他の人にとっても意味のある主題を置けたからだと考えています。
自分がやりたいことを、他の人にとってもやりたいことに置き換えられるか。このプロジェクトでは、その置き換えがはっきり成立していました。